巻き肩とは?
巻き肩とは、肩が前方に巻き込まれた状態のことを指し、デスクワークやスマホの使用、筋力バランスの崩れが主な原因です。
猫背とセットで発生しやすく、肩こりや首の痛み、呼吸の浅さにつながることもあります。
巻き肩の主な原因
巻き肩の主な原因は以下のとおりです。
- 姿勢の悪化(デスクワーク・スマホの長時間使用)
- 胸の筋肉(大胸筋・小胸筋)の緊張
- 背中の筋肉(僧帽筋・菱形筋)の弱化
- 肩甲骨の可動域の低下
- ストレスによる筋緊張
巻き肩の根本的な原因の一つに 姿勢悪化による脊柱(背骨)の歪み があります。
特に 胸椎(きょうつい) の可動性やカーブの変化が、肩の位置や可動域に影響を与えます。
脊柱(背骨)と巻き肩の関係
脊柱は 頸椎(けいつい)・胸椎(きょうつい)・腰椎(ようつい) の3つの部分に分かれます。
巻き肩は 胸椎の後弯(猫背) によって引き起こされることが多く、結果として肩の位置が前方にずれます。
胸椎(Thracic Spine)
- 正常な胸椎のカーブは「後弯(こうわん)」している(後ろに丸くなる)
- 巻き肩では胸椎の後弯が過度に強くなる(猫背姿勢)
- 胸椎が丸まると肩甲骨が前に引っ張られ、肩関節が内旋しやすくなる
→ 結果として、肩が前方に入り、巻き肩の状態になる
頸椎(Cervical Spine)
- 巻き肩になると、頭が前に出る(ストレートネック)
- 頸椎の前弯(ぜんわん)が失われ、首こり・肩こりが発生
- 特に第5〜7頸椎付近の負担が増加し、首の不調を引き起こす
腰椎(Lumbar Spine)
- 巻き肩になると骨盤が後傾しやすくなる
- 腰椎の前弯が減少し、反り腰や腰痛の原因に
- 胸椎が丸まり、腰椎が過剰に前傾すると「反り腰+巻き肩」の悪い姿勢になる
肩甲骨の位置異常
- 正常な肩甲骨のポジション
- 背骨(胸椎)から約5〜6cm離れている
- 下角が第7胸椎の高さにある
- 肩甲骨の前傾角度が約10〜15度
→ 巻き肩になると肩甲骨が前に傾き、外側に広がりやすい(外転・前傾)
肩関節の内旋(内巻き)
- 肩関節(肩甲上腕関節)の正常な状態
- 上腕骨の自然な外旋(外向きの動き)が保たれている
- 肩甲骨と調和して動く
→ 巻き肩では肩関節が内旋し、腕が内側に入りやすくなる
- 肩が内旋すると大胸筋・小胸筋が短縮し、肩関節の可動域が低下
- 「手のひらが後ろを向きやすい」姿勢になり、見た目が悪くなる
骨格からアプローチする改善方法
胸椎の可動性を高める
巻き肩の改善には、硬くなった胸椎を動かすこと が大切です!
胸椎のモビリティ(可動性)向上エクササイズ
- キャット&カウ(Cat & Cow)
- 四つ這いになり、背中を丸めたり反らせたりする
- 胸椎の動きを引き出し、背骨全体の柔軟性を高める
- 胸椎回旋ストレッチ
- 横向きに寝て、腕を開くように回旋する
- 胸椎の回旋動作を改善し、肩甲骨の可動域を広げる
- フォームローラーを使った胸椎伸展ストレッチ
- フォームローラーを背中(胸椎部分)に当てて仰向けに寝る
- 胸を開くようにストレッチし、背骨の後弯を軽減する
肩甲骨のポジションを整える
肩甲骨は「可動性」と「安定性」を兼ね備えた部位で、巻き肩の改善には肩甲骨の正常な動きを取り戻すことが重要です。
肩甲骨の位置を正すことで、肩の前傾・巻き込みを防ぐことにつながります!
巻き肩では肩甲骨が「前傾・外転」し、背中の筋肉がうまく機能しません。
「肩甲骨の後傾・内転」を意識したエクササイズが重要となります!
肩甲骨の安定化エクササイズ
- YWTエクササイズ
- 肩甲骨の後傾を強化する
- シュラッグ(Scapular Shrug)
- 僧帽筋下部を鍛え、肩甲骨を下制する
- ダンベルを持って肩を引き下げる動作
- フェイスプル(Face Pull)
- 僧帽筋中部・下部と後背部を鍛え、肩甲骨のポジションを安定させる
- ケーブルやチューブを使い、顔の高さまで引く動作
- ウォールスライド(Wall Slide)
- 肩甲骨の可動域を改善し、姿勢をリセットする
- 壁に背中をつけて、手を上下にスライドさせる
- プランク+肩甲骨寄せ
- 前鋸筋と僧帽筋下部を同時に鍛える
骨盤の位置を整える
巻き肩と骨盤の後傾はセットになりやすいため、骨盤のアライメントを正すことも重要です!
骨盤の安定化エクササイズ
- ヒップヒンジ(Hip Hinge)
- 骨盤のニュートラルポジションを意識するトレーニング
- 腰を反りすぎず、適切な前傾を意識する
- ブリッジ(Glute Bridge)
- 骨盤を支える大臀筋を鍛え、後傾を防ぐ
- 仰向けで膝を立て、お尻を持ち上げる動作
また、巻き肩の方は呼吸が浅くなりやすく、特に「胸式呼吸」が強くなる傾向があります。
→ 腹式呼吸(横隔膜を使う)を意識することで、姿勢が改善しやすくなります!
呼吸エクササイズ
- ドローイン(腹横筋を活性化) → 仰向けで息を吐きながらお腹を凹ませる(10秒×3セット)
- 風船呼吸エクササイズ → 風船を膨らませることで、横隔膜と腹圧を高める
巻き肩に関与する主要な筋肉
① 短縮(硬くなりやすい)筋
巻き肩では前側の筋肉が過度に緊張し、肩を前に引っ張ります。
特に短縮しやすい筋肉は以下のとおりです。ストレッチを
- 大胸筋(Pectoralis Major)
→ 肩を前方に引く作用があり、硬くなると肩が巻き込まれる。 - 小胸筋(Pectoralis Minor)
→ 肩甲骨を前傾させるため、短縮すると肩が前に出やすい。 - 上腕二頭筋(Biceps Brachii)
→ 長頭が肩甲骨に付着しており、短縮すると肩が内旋しやすくなる。
硬くなりやすい筋肉は、ストレッチでアプローチしていきましょう!
② 伸長(弱くなりやすい)筋
巻き肩では背面の筋肉が引き伸ばされ、機能が低下します。
特に弱くなりやすい筋肉は以下のとおりです。
- 僧帽筋中部・下部(Trapezius, Middle & Lower Fibers)
→ 肩甲骨を後方へ引く作用があり、弱化すると肩甲骨が前に流れやすい。 - 菱形筋(Rhomboids)
→ 肩甲骨を寄せる(内転させる)役割を持ち、機能低下すると肩甲骨が外に広がりやすい。 - 前鋸筋(Serratus Anterior)
→ 肩甲骨の安定に関与し、機能低下すると猫背が助長される。
これらの筋肉は、筋力トレーニングを行い鍛えることで機能を向上させましょう!
巻き肩改善のためのストレッチ&エクササイズ
① 胸のストレッチ(大胸筋・小胸筋)
方法:
- 壁に片手をついて、上半身をひねる
- 30秒×左右1セットずつ
ポイント: 胸の筋肉をしっかり伸ばすことで、前方に引っ張られる力を軽減
② 肩甲骨の可動域アップ(肩回し)
方法:
- 両肩に手を置き、肘で円を描くように前後に回す
- 10回×2セット
ポイント: 動作を大きくし、肩甲骨をしっかり動かす
③ ドアフレームストレッチ(小胸筋)
方法:
- ドアのフレームに両手をかけて、胸を前に突き出すようにストレッチ
- 30秒×2セット
ポイント: 小胸筋を緩めることで肩が開きやすくなる
④ 背中の筋トレ(僧帽筋・菱形筋強化)
背中の筋肉を強化し、肩を後ろに引く力を高める
種目:
- シーテッドロー(ゴムバンド or マシン)
→ ケーブルやチューブを使い、背中を引き締める(12回×3セット) - フェイスプル(ゴムバンド or ケーブル)
→ ロープやゴムバンドを使い、肩甲骨を寄せながら引く(15回×3セット) - ウォールスライド(Wall Slide)
→ 壁に背中をつけ、腕を上下に動かす(10回×2セット)
⑤ 猫背改善トレーニング(ブリッジエクササイズ)
方法:
- 仰向けに寝て、膝を立てる
- お尻を持ち上げ、肩甲骨を寄せる
- 10秒キープ×3セット
ポイント: 背面の筋肉を意識しながら行う
巻き肩改善のための実践ポイント
巻き肩を根本から解決するためには、骨格のバランスを整えることが重要です!
- 胸椎の可動域を広げる(ストレッチ & モビリティ)
- 肩甲骨のポジションを整える(僧帽筋・菱形筋・前鋸筋を鍛える)
- 肩関節の内旋を防ぐ(大胸筋・小胸筋のストレッチ)
- 骨盤を安定させる(腹圧を高める & ヒップヒンジを意識)
日常生活で気をつけるべきポイント
- 正しい姿勢を意識する
- 背筋を伸ばし、肩をリラックスさせる
- 耳・肩・骨盤が一直線になるように座る
- 長時間のスマホ・PC使用を避ける
- 30分ごとに休憩を入れ、ストレッチをする
- 適度な筋トレとストレッチを継続
- 週2~3回、ストレッチ&筋トレを行う
- 寝るときの姿勢を見直す
- 高すぎる枕はNG!首と背骨が自然なカーブを描くようにする
まとめ|正しい姿勢を手に入れましょう!
巻き肩の根本原因は、胸椎の後弯・肩甲骨の前傾・骨盤の後傾 にあリます!
日常の悪い姿勢が積み重なって起こるため、胸のストレッチ・肩甲骨の可動域改善・背中の筋トレ・呼吸改善が必要となります。
骨格のバランスを整え、適切なエクササイズを行うことで改善が可能です!
まずは3ヶ月ほど継続してみましょう!姿勢が改善し、肩こりや猫背も軽減されるうえ、呼吸や代謝も向上していきます!