はじめに
「お金を稼ぐこと」は多くの人にとって重要な目標の一つです。
しかし、「いかにして人生を豊かに生きるか」という問いに、真っ直ぐ答えられる人はどれほどいるでしょうか?
ビル・パーキンス著『DIE WITH ZERO』は、文字通り“死ぬときにゼロであること”を目指す、人生とお金に対する新たな視点を提示してくれる一冊です。
今回はその内容をもとに、一度きりの人生を最大限に楽しむ秘訣をまとめていきます。
まだ読んだことない方は、ぜひ手に取ってみてください!
1. 「死ぬときに最も後悔するのは、お金ではない」
私たちは「老後が不安だから」と、稼いだお金をなるべく使わず、貯めることに集中しがちです。
しかし、著者はこう問いかけます。
「その貯めたお金は、本当にあなたの人生を豊かにしているのか?」
本書では、多くの人が亡くなる直前に後悔するのは「もっと人生を楽しめばよかった」「もっと挑戦しておけばよかった」という“経験の不足”だと述べています。
つまり、単にお金を残すのではなく、お金を「経験に変える」ことこそが人生の本質だというのです。
2. 若いうちにしかできない経験を逃さない
人生には「経験の最適なタイミング」があります。
例えばバックパッカーとして世界中を旅することは、20代や30代の体力・自由な時間がある時期にこそできること。
本書では、年齢とともに「経験できることの幅」が狭まっていくことに触れ、若いうちにしかできないことを後回しにしないよう強調しています。
資産の最大化ではなく、“経験の最大化”を目指すべきだというのです。
3. お金の「価値」はタイミングで変わる
1万円の価値は、時間によって変わります。
20歳のときに使う1万円と、80歳のときに使う1万円では、その価値は同じでしょうか?
若い頃の1万円は、スカイダイビングや友人との旅行など、人生にインパクトのある経験につながる可能性が高いです。
しかし、高齢になればなるほど、お金を経験に変える力が落ちていくのです。
つまり、「後で使うより、今使う方が価値が高い」お金の使い方を知ることが、人生を楽しむ上で鍵となります。
4. 思い出に投資する
「思い出」は利子がつく最大の投資、と著者は語ります。
例えば、30歳で海外旅行に行き、その体験を何十年も語り続けることができれば、その経験は一度の出費以上の価値を生みます。
お金は使えば減りますが、思い出は時間が経つごとに“心の資産”として価値を増していくのです。
思い出に投資するとは、つまり「心に残る体験」にお金と時間を使うこと。
人生を豊かにしたいなら、「何に使ったか」ではなく、「どう感じたか」が大切だと気づかされます。
5. 健康と時間の使い方がすべてを左右する
どれだけお金があっても、健康を損なえば意味がありません。
経験を最大化するには、健康が大前提。特に20代~40代は、健康・体力・自由な時間のバランスが取れる貴重な時期です。
この時期に自己投資やチャレンジをしないのは、後になって必ず後悔するポイントになると本書は警鐘を鳴らしています。
「時間こそが最も貴重な資源」であり、時間をどう使うかがその人の人生の質を決定づけます。
6. 家族や大切な人に「今」与える
人はよく「子どもに資産を残したい」「遺産を残したい」と言います。
しかし、著者は「死んでから残すのではなく、生きているうちに与える」ことの大切さを説いています。
20歳の子どもに100万円を渡せば、そのお金で留学や挑戦の資金にできるかもしれません。
しかし、70歳で渡された100万円はどうでしょうか?時間が過ぎた後では、与えた側も受け取った側も“使いきれない”のです。
本当に与えたいなら、「今」、その人が必要としているタイミングで渡すべきだと本書は教えてくれます。
7. 「死」を意識して生きる
本書の根底には「死を恐れるのではなく、意識することで人生が変わる」という哲学があります。
人は死を意識することで、「本当にやりたいこと」「本当に大切なもの」に気づくことができる。
先送りしていた夢や、大切な人との時間を、意識的に取り戻そうとする力が働きます。
“死ぬまでにやりたいことリスト”を作るのは、まさにそのためです。死を見つめることで、今という時間の価値が劇的に上がるのです。
8. 経験に「最適な寿命」を設ける
お金の寿命ではなく、経験の寿命を考えるべきだと本書は語ります。
旅行、スポーツ、アート、グルメ…それぞれの経験には、「最適な年齢」がある。
それを知らずに「いつかやろう」と後回しにしていると、気づけばその体験はできなくなっていることもあるのです。
著者は「自分の人生をデザインする」ことの重要性を説いており、ライフプランと経験のタイミングを逆算してスケジューリングすることを推奨しています。
まとめ
『DIE WITH ZERO』は、お金を貯めることに偏りすぎた現代人の価値観を揺さぶる一冊です。私自身も、「一度きりの人生をどう生きたいか」を改めて問われる本でもありました。
死ぬときに後悔するのは、やらなかったこと。
今という時間にどれだけ価値を見出し、経験に変えられるかが、人生の充実度を決めます。
私たちは「今」こそが最も若く、最も行動できる瞬間にいる。
だからこそ、死ぬときに後悔のないよう、思い出に投資し、大切な人と過ごし、自分の本音に従って生きること。
それこそが、「DIE WITH ZERO」、ゼロで死ぬという人生哲学の本質なのです。